日本キャンプブランドの御三家の1つであるスノーピークの一部製品で表記や公表値と違う素材を使っていたという、アウトドア業界をざわつかせる報告とお詫びが出て1週間ほどが経ちました。
スノーピークは近年、日本だけでなく海外でも販売を行っているので全ての該当製品を回収や交換、保証するのは本当に大変だろうなぁ……と、思っております。
そんな、お詫び報告の文章を読んで思ったのですが、
「この文章に出てくるワード、初心者にあまり優しくない……」
ということで、今回は元キャンプメーカーの中の人の立場でスノーピークのお詫びと報告書に出てくる少し分かりにくいワードをまとめて解説していきたいと思います。
報告書に出てくる分かりにくいワード
①「メッシュパネル裏の素材」
今回の問題個所である「メッシュパネル裏の素材」なのですが、言葉で聞くとものすごくイメージがしずらいですね。
これはどこの部分なのかというと……
この赤丸部分のひらひらしている生地のこと!
大型テントやスクリーンタープはメッシュが外側、フルクローズするときの扉になる生地は内側という構造が多いです。
スノーピークのテントやタープもこの構造を多く採用していることもあり、「耐水圧に関わる仕様違い」に該当する製品が42品番も出てきていると思います。
②耐水圧「1,800mmミニマム」
前側の数字は耐水圧の数字だとはわかると思うのですが、数字の後ろの「ミニマム」とは何だと思う人は多いのではないでしょうか。
実はこの「ミニマム」の表記はスノーピーク独自のもので、生地のどの部分の耐水圧を計測しても最低1800㎜は保証するというものです。
他のテントメーカーでは生地のいくつかの部分の平均数値を耐水圧として表記していることがほとんどで、生地の場所によっては表記の数字より低い耐水圧である可能性があります。
この「ミニマム」という表記はスノーピークの品質の高さを象徴しています。
かなり古い投稿ですが、この投稿のようにスノーピークは耐水圧の「ミニマム」にかなり誇りを持っていることが分かります。
つまり、今回の表記スペックに足りないという問題はスノーピークにとってかなり重大な問題であり、我々ユーザーが思っているよりもかなり重大な問題だとスノーピーク側は考えていると思われます。
③「75Dポリエステルリップストップ」「ポリエステル素材」
この2つの生地はどちらも同じ素材なのですが、生地の織り方が違っています。
リップストップという生地は太い糸と細い糸を組み合わせて織られる、高強度・ほつれにくい・軽量といった現代のアウトドア産業に必要不可欠な生地です。
対して、ポリエステル素材と書かれている生地は織られ方は様々ですが、大抵の場合はリップストップ生地よりも強度の低い生地であることが多いです。
つまり、表記してある生地よりも強度が低いかもしれない生地を素材として使用したテントになっていたということです。
④サプライヤー
この「サプライヤー」という言葉は聞き馴染みがない人が多いと思います。
簡単に言うと工場のことで、この報告書の文章の中ではスノーピークのテントの生産を担う委託工場のことを指しています。
現代のテントのほとんどは中国で生産されており、今回問題になっているサプライヤー(工場)も中国の工場ではないかと考えられます。
恐らくその工場にもスノーピーク側のQCといわれる品質管理が業務の駐在員さんがいると思うのですが、まさか工場が仕入れた生地が規定の仕様とは違うなんて思いもしなかったのではないかと思います。
まとめ
以上、スノーピークの今回の報告とお詫びの文章の分かりにくいワードの解説でした。
ここからは個人的な感想ですが、今回の騒動はスノーピークだからこそ自分達できっちりと問題にすることが出来て、問題発覚から時間を空けずに世に公表できたと考えています。
これが、中堅どころの小さいメーカーだったら黙ってやり過ごすか、有耶無耶にしていると思います。(もちろん誠実なメーカーもいると思います)
クレームが来たら個別で丁寧に対応してしまって、次回の生産ロットから正しい素材を使ってしまえば問題が表沙汰になることはほとんどありません。
しかし、スノーピークはそうしなかった。
今回の件はもちろん問題は問題ですが、スノーピークの自分たちの製品に対する責任と誇りを感じることが出来た騒動だと思います。
スノーピークのことを1キャンパーとして、元メーカーの人間としても尊敬に値するメーカーであると改めて思いました。
どうか、今回の騒動が綺麗に片付いて日本のアウトドアブランドの象徴として頑張っていただきたいです。
まとめがほぼ私の感想ですね。
以上です!次の記事でお会いしましょう!
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